作者
佐々木宏之
发表日期
2010
期刊
暁星論叢
卷号
60
页码范围
55-72
出版商
新潟中央短期大学
简介
我々は日頃の生活の中で様々な意思決定の場面に直面する. 意思決定は衣服の選択のように些細なものから生命が危ぶまれる決断まで実に多様であり, しかもその選択はしばしば結果の不確かさ (uncertainty) が伴う中で行わなければならない. 将来の見通しが不確かな中で迫られる決断は, 私達を困惑させる一方で, ギャンブルのように古来人類を楽しませてきたという側面もある. こうした不確実状況下の意思決定は, 行動経済学, 認知心理学, 神経生物学といった諸分野において注目され, 意思決定プロセスの概念化が試みられてきた (weber& Johnson, 209). 意思決定の情報処理モデルによると, 意思決定の生起メカニズムは, 直感的無意識的なシステム 1 と理性的意識的なシステム 2 の二重過程が想定され, 不確実状況下の意思決定には主にシステム 1 が関与するとされている (Evans, 2008; Kahneman&Frederick, 2002).
不確実状況下の意思決定がシステム 1 によりもたらされるとする根拠は, 我々の選択が期待効用理論 1 (YonNeuman& Morgenstem, 1947) からの予測に反して経済的合理性から逸脱する点に示される. 例えば, 高確率で小額を得る選択と低確率で高額を得る選択に直面すると大概は前者を選ぶのだが, 高確率で小額を失う選択と低確率で高額を失う選択となると後者を選択する者が多くなる (Kahneman 皮 Tversky, 1979). 意思決定が常に経済的合理性に準拠するならば, 期待値が等価である限り, 利得場面と損失場面でこのような選好逆転 (preferencereversal; Slovic, 1991) は起こらないはずである. Kahneman&Tversky や Slovic といった心理学者らが示したこれらのパラドクスは, 不確実状況の下で行われる我々の選択が, 論理的というよりは直感的なプロセスに支えられていることの証左となった. また, このようして下される判断は, 心理学や計算機科学の分野ではヒュ-リステイクス 2 (heuristics) と呼ばれてしさる.
引用总数
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