論文抄録
アフターコロナ社会では, 人々のコミュニティ維持や心のつながり形成のための遠隔コミュニケーションが一層重要となる. 特に近年の VR 技術の発展により, 各人が存在する物理空間を常時センシングし, 精緻な空間データを仮想空間に持ち寄ることで互いの存在をシームレスに知覚する空間共有の実現などが期待されている. しかし, 空間把握のための高精度 3 次元カメラや超臨場サウンドデバイス, ロボットなどのセンサーデバイスが取得するデータは, 各人のプライバシー要求を反映しながら共有されることが大前提となる. 本研究では人間のプライバシー要求の自動理解と, それに基づく精緻空間データの共有・アクセス制御技術を統合したサイバーフィジカル空間共有基盤の設計開発を行う. 3 次元 LiDAR による物理空間スキャンと, AR デバイスによる一方向の空間共有システムの簡易プロトタイピングを行い, 同基盤の基礎性能評価を行った. その結果, 無圧縮センサデータをそのまま利用する場合, 約 360 Mbps のデータストリームが生じ, また点群のセマンティックセグメンテーションに 1 フレームあたり約 0.25 秒要することが分かった.