音声は人間にとって最も基本的なコミュニケーション手段であるということから, 音声対話システムを含む音声インタフェースの実用化を目指し, これまでに AT&T の GalaxyCommunicator [Seneff98] や HowmayI helpyou?[Gorin97], DFKI の DIPPER [Bos03] や the SEMAINEAPI, CMU の Let'sGo [Raux05] など, 長い間研究開発が続けられてきた. また, 機械に向かって話す抵抗感に対して, ユーザに親近感をもたせて自然な発話を促す方法として, 身体性を伴ったエージェントキャラクタをユーザとのインタフェースとするシステムが数多く開発されている [Chen10]. 近年では, さまざまな技術革新や大量のコーパスなどの整備が進み, BritishAirways の航空チケット音声予約システムや Google の音声 Web 検索サービス, スマートフォンの音声操作など, 急激に実用化が進んでいるが, 実社会における音声インタフェースの広い普及にはいまだ至っていない. 音声特有の生き生きとしたインタラクティブ感のあるやり取りは, 手による操作を主とする従来型のインタフェースでは実現することができない音声インタフェースの固有の 「魅力」 の一つであるが, いまだ広く普及していない原因の一つに, 音声ならではの魅力を最大限に活かした音声対話コンテンツを十分に提供することができていない点が考えられる. また, 人の発話は個人差が大きく, しばしばシステム設計者の予測と異なる発話や用法が発生するが, ユーザによる評価や改善へのアイデイア, 工夫があったとしても, それらが速やかにフィードバックされる仕組みのない閉じたシステムとなっていることが多い. 本研究の大きな目的は, 音声インタフェースの 「魅力」 の解明と, それを実現するシステムがどのような要件を具備すべきかを解明することである. しかし, 魅力的な音声インタフェースがどのような要件を具備すべきかを解明するためにさまざまな要件を評価できる大量の音声対話コンテンツを生成することは容易ではなく, また, システムの設計に関しても, インタラクティブ感の実現を主題に置いて構築されたものは多くはない. このような問題を解決するためには, まず音声対話コンテンツの制作部分をシステムから分離し, ユーザに広く開放することで多くの事例や知見を収集・検証できる環境を構築する必要があると考えられる. そこで本稿では, ユーザ参加型の音声対話コンテンツの生成および利用の仕組みを紹介する. 具体的には, システム全体をユーザに提供するコンテンツとそれを駆動するシステムに分離し, ユーザがシステムの内部を意識することなくコンテンツを生成, 登録できるインタフェースを構築した. さらに, 全天候型双方向音声案内デジ